- 2025.06.01
- コラム
「千川産婦人科医院 の あゆみ」

写真①:1960年ごろの千川産婦人科医院外観
千川産婦人科医院は、1960年、この千川の地にて、先々代・土橋千冬先生が開院されました。1960年(昭和35年)当時、このあたりはまだ静かな住宅街と畑が混在する、のどかな地域でした。
現在のような地下鉄駅はまだなく、地域の人々の足は国際興業バスや自転車でした。
戦後に形成された「要町三丁目商店会」が地域の中心的な買い物の場となっており、近所の人々が顔を合わせるあたたかな場でもありました。
そんな中で、千川産婦人科医院は、地域の妊婦さんたちにとって安心できる「かかりつけ医」としての役割を担い、命の誕生や女性の健康のそばに、いつも静かに、けれど力強く寄り添ってきました。
当時は分娩や入院にも対応しており、産科と婦人科の診療を通して、多くの命の誕生と女性の健康を見守ってきました。
写真②は、当時の土橋千冬先生です。
写真裏面には「帝王切開手術後」と記されており、命の誕生に携わる現場の重みが伝わってきます。
写真②
写真③④昭和の面影を残す当時の掲示物
紙の色あせや書体からも、医院と地域の人々が築いてきた年月が伝わってきます。


1990年には、現在の建物が竣工し、診療の場が一新されました(写真⑤)。
このとき新設された診察室は、今も「1番診察室」として、たくさんの方々を迎え続けています。
写真⑤
2000年には、二代目として土橋一慶先生が院長に就任されました。やさしさと誠実さにあふれる診療は、地域の方々に深く信頼され、長きにわたり多くの患者さまを支えてこられました。
そして2024年。長い年月をかけて築かれてきた医院の歩みと、多くの患者さまとの信頼関係を引き継ぐべく、私が三代目院長としてこの場所に立たせていただくこととなりました。
60年以上にわたって、医師と患者、家族と地域が交差してきたこの場所には、目に見えないたくさんの記憶が息づいています。
その重みをしっかりと受けとめながら、これからも安心して足を運んでいただけるクリニックを目指してまいります。
~土橋一慶先生よりご挨拶~
千川産婦人科医院を2000年(平成12年)に初代院長の千冬先生から引き継ぎ、24年が経過しました。
引き継いだ当時、共に診療をした父親からいろいろ教えて頂きながら―信頼とゆとりの医療―を目標とした診療をスタートさせました。
当院を頼ってこられた患者さんから学ばせていただき、ある時はお叱りを受けたりしながら、スタッフと共に日々の診療に努力をしてきました。
診療を重ねるにしたがい、医療の本質をお芝居やドラマに例えるならば、その主役は患者さん自身であると考えるようになり、学会活動などで培った信頼できる医師への連携診療にも力を入れるようになりました。
適切なる医療の提供には、仲間の医師の言葉を借りるならば「体力、知力、視力」に「気力」が必要であると考えています。年を重ねるにつれ視力(眼鏡で矯正)、体力の衰え(日々の体操、筋力アップ)を感じ、世代交代の時期と判断し、地域医療の重要性を理解して下さる医師を10年前ごろから探し求めていました。
この度、私の出身医局の後輩で、医局のご配慮もいただき武谷千晶先生に3代目の院長をお願いすることなりました。今後とも、よろしくご高配いただければ幸いです。